X(エックス) / silent jealousy(サイレント ジェラシー) 

楽曲レビュー
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こんな人におすすめ

  • 『ヘドバン』Vol.30を購入された人
  • Xはバラードバンドだと思っている人
  • とにかくカッコイイ曲を探してる人

概要

作詞・作曲: YOSHIKI 編曲:X リリース:1991年

日本が世界に誇るロックバンド、X(現X JAPAN)のセカンドアルバム「JEALOUSY」2曲目に収録されたリードトラックにして、X6枚目のシングル。Xの最高傑作という評価も多い珠玉の名曲。

メンバー

YOSHIKI / Drums&Piano

TOSHI / Vocal

HIDE / Guitar

PATA / Guitar

TAIJI / Bass

レビュー

サビと同じメロディーのYOSHIKIによる力強いピアノソロで幕を開けるこの曲。

ドカン!とバンドが入ってくる。静のピアノパートから暴れまわるYOSHIKI御大の動のドラムへと移り変わるダイナミクスの落差でド派手なオープニングに感じるが、これもYOSHIKI曲らしく実はイントロ前半のギター、ベースのフレーズはシンプル。イントロ後半、個人的には未だに超えるコンビは世界的にも出てきていないと思わせるHIDE、PATAによるツインリード、ボトムを支えつつ印象的なフレーズを織り交ぜるTAIJIのベース、そしてペースの全く落ちないYOSHIKIの高速ドラム。最初のピアノソロが約40秒。バンドが入ってからAメロまで約40秒。計約80秒のイントロだが、これだけで凡百の曲が平伏すドラマ性、激しさ、美しさが詰まっている。

Aメロを引っ張るのはPATAだ。高速バッキングを淡々と弾きこなす様は悟りの境地にいるよう。歌メロはシンプルだが、歌詞はほぼ英詞で最近のX JAPANの曲と違い、この頃のYOSHIKIの英詞は結構歌い辛いと思う。今でこそ英語も話せるTOSHIだが、当時は相当きつかったのではないだろうか。このシンプルAメロがこの後の展開を引き立たせている。

Bメロでメロディーは大きなうねりを見せる。特に1番は歌詞が日本語のみである事で英詞メインのAメロとのコントラストがより鮮明に描かれている。音源では後半にハモリが入って艶を増し、壮大なサビに期待が高まる。

サビ。音源ではTOSHIの多重録音による見事なハーモニーが一気に花を咲かせる。(ライブではハモリの代わりにストリングスで盛り上げる。)これだけの高速バックトラックに、どこか日本の美麗、和を感じさせるメロディー。TOSHIのヴォーカルは現在の方が技術的には格段に進歩している。まさに魂に刺さる声を持っていると思う。でも、この頃までの喉を酷使するの荒々しい歌い方のTOSHIが好きだというファンは多いし。俺もその一人だ。あぁファンは罪深い。今でこそ海外で活躍する日本のバンドも増えたし、Xの評価が海外でも高まったのは寧ろ後輩バンド達の後だったかもしれないが、この品質で日本のロックを最初に世界品質に引き上げたバンドだと思う。(後にXを脱退したTAIJIが加入するLOUDNESSはXよりも先行してアメリカで評価されているが、個人的には彼等は日本人が演る正統派HEAVY METAL、洋楽だと思う。)

そして、曲はハイライトのインストパートへ入っていく。煌びやかなギターのアルペジオをバックにTAIJIのベースがここでも存在感を出す。TAIJIのベースは普段はしっかりボトムを支えているが、ここぞというタイミングで絶妙なアクセントを加えてくる。続くYOSHIKIのピアノソロはストリングスと官能的に絡み合い昇り詰めていく。そしてHIDEとPATAによる個人的には世界一のツインギターでこの曲は最高潮に到達する。このツインギターで何人のキッズがギターを手にし、最初にこの曲をコピーしようとして挫折していった事だろう。何千、何万回とsilent jealousyを聴いてきたが、ここではおっさんになってしまった今でも熱いものが毎回こみ上げてくる。

しかし個人的にはsilent jealousyの真の聴きどころはこの後の大サビだ。

歌メロももちろん素晴らしい。ここまで聴いてきてアドレナリンは全開だ。多くの人は脳内処理が追いつかなかったり、曲に完全に身体を支配されてしまうと思う。実際ライブ映像の多くやテレビのカメラでもここで追いかけるのはTOSHIの姿だ。大サビだし、もちろんそれが正解なのだろう。しかし、俺は大サビの裏でのYOSHIKIの超絶ドラミングこそが必聴ポイントだと思う。その時間約10秒。曲の終盤でのこの凄まじいプレイは何なのだろう。しかも当時のYOSHIKIは全身を使い本当に鬼気迫るプレイをしている。文字通り命を削るプレイだ。それこそ身体を効率的に使えばもっと無理せず叩けるフレーズだと思う。日本人ならば直系の真矢(LUNA SEA)や、大ファンを公言してやまないピエール中野(凛として時雨)であれば、もしかしたらYOSHIKIよりもこの曲を上手く叩けるのかもしれない。しかし当時のYOSHIKIのプレイには誰にも迫れない。今やYOSHIKI本人すら当時のドラミングで身体に回復不能なダメージを負い、同じ演奏はできない。そういうドラミングだと思う。

アウトロに入ってもテンションはまるで落ちない。さながらフィギュアスケートの羽生弓弦のフリー演技のように、7分を超える長尺曲であることを忘れる程、最後まで美しく、力強い。そして何千羽もの白鳥が羽ばたくようなドラミングとハーモニーで終焉を迎える。

1発目のレビューを何にしようかと悩んだが、結局一番好きな曲にした。

ちゃんと書けるか不安だったが、思ってた以上に文字数が書けた自分に正直驚いている。

寧ろ、この後、同じテンションでレビューを書けるのか不安だ。

とにかくXのsilent jealousyは日本が世界に誇るべき1曲であると思う。

Xをsilent jealousyを聴いたことがない人の目にこの拙いレビューが触れて、少しでも興味を持ってもらえたら嬉しい。

X JAPAN 『Silent Jealousy』(HD)

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